- ヨガ
2025.11.28
2025.10.17
キャット アンド カウ(Cat and Cow Pose)は、ヨガのアーサナ(ポーズ)の中でも、最も有名で基本的なポーズの一つです。サンスクリット語では「ビダーラーサナ」と「マールジャーリ・アーサナ」と呼ばれ、その名の通り、猫(キャット)が背中を丸める動きと、牛(カウ)が背中を反らせる動きを組み合わせた連続動作です。
このポーズは、呼吸に合わせて背骨をしなやかに動かすことを目的としています。背骨は体の中心軸であり、ここが柔軟に動くことで、全身の機能が向上します。特に、日常生活で固まりがちな背中や腰周りの緊張を和らげ、腰痛予防や姿勢改善に効果が期待できます。
キャット アンド カウは、四つん這いの姿勢で行います。
・キャット(猫のポーズ):息を吐きながら、背中を大きく丸め、おへそを背骨に引き寄せます。猫が威嚇するときのように、背骨全体を天井に押し上げるイメージです。
・カウ(牛のポーズ):息を吸いながら、背中を優しく反らせ、胸を開いて目線を軽く上げます。
この一連の動きを、深い呼吸に合わせてゆっくりと繰り返すのが特徴です。
このポーズは、背骨を中心に複数の部位に働きかけます。
背骨の柔軟性:背骨の一つ一つの椎骨(ついこつ)を動かす意識を持つことで、背骨全体の可動域が広がり、柔軟性が高まります。肩や腰の緊張緩和:丸めたり反らせたりする動きが、長時間同じ姿勢で固まった肩甲骨周りや腰周りの筋肉の緊張を和らげます。
内臓のマッサージ効果:背中を丸める時に腹部が圧迫され、反らせる時に内臓が解放されるため、消化器系が優しくマッサージされ、便秘解消や内臓機能の活性化にもつながります。
キャット アンド カウは、四つん這いという非常に安定した姿勢で行うため、バランスを取る必要がなく、体力や柔軟性に自信がない方でも安全に取り組むことができます。また、動きがシンプルなので、呼吸と動きを連動させるヨガの基本を学ぶ最初のステップとして最適です。
キャット アンド カウの最も大切なポイントは、呼吸に合わせてゆっくりと動くことです。ここでは、初心者の方にもわかりやすい手順と、フォームを整えるコツを解説します。
1.基本の四つん這い
・床に四つん這いになり、手は肩の真下に、膝は股関節の真下に置きます。
・手の指は大きく広げ、手のひら全体で床を押します。
・背中は床と平行なニュートラルな状態にしておきます。
2.カウ(牛のポーズ):
・息を吸いながら、ゆっくりと尾骨を天井に向け、背中を優しく反らせます。
・胸を開き、目線を軽く上げます。このとき、お腹は緩みすぎないよう、軽く支えましょう。
3.キャット(猫のポーズ):
・息を吐きながら、ゆっくりと背骨を丸めます。
・尾骨を床に引き下げ、おへそを背骨にぐっと引き寄せます。
・頭はだらんと下げ、目線はおへそに向けます。
4.繰り返し:この「吸う息でカウ」、「吐く息でキャット」の動きを、自分の呼吸のペースに合わせて5〜10回繰り返します。
・手首・膝の位置:手首は肩の真下に、膝は股関節の真下に、それぞれ垂直に置くことで、関節への負担を減らし、安定した土台を作ります。
・首の使い方:キャットの時は頭を完全にリラックスさせ、カウの時は首の後ろを縮めすぎず、目線だけを軽く上げます。首の力で無理に反らさないように注意しましょう。
・力の入れ方:カウの時に腰を反らせすぎず、キャットの時に肩甲骨の間を広げるように意識すると、背骨全体の動きが深まります。
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ダウンドッグの5つの効果と正しいやり方を初心者にもわかりやすく解説
| 間違い | 修正方法 |
|---|---|
| 手首に体重がかかりすぎる | 手のひら全体で床を押し、特に人差し指の付け根を意識的に押しましょう。肘をわずかに外側にねじるようにすると、手首の負担が軽減されます。 |
| 腰だけを動かしている | 背骨全体、尾骨から首の付け根までが連動して動くように意識しましょう。「背骨をウェーブさせる」イメージを持つと良いです。 |
| 呼吸と動きがずれる | 動きの途中で呼吸を止めないこと。息を吸いきってからカウの姿勢を完了させ、息を吐ききってからキャットの姿勢を完了させるように、呼吸の長さに動きを合わせましょう。 |
キャット アンド カウは、シンプルながらも身体と心に多大なメリットをもたらします。
現代の生活では、パソコン作業などで背中が丸まりがちです。キャット アンド カウで背骨を前後両方向に動かすことで、日常動作で失われがちな背骨の可動域を回復させます。背骨がしなやかになることで、自然と正しい姿勢を保ちやすくなり、見た目の印象も良くなります。
深い胸式呼吸に合わせて体を動かすことは、自律神経に働きかけ、特にリラックスを促す副交感神経を優位にします。動きに集中し、呼吸を意識することで、思考がクリアになり、日々のストレスや不安を軽減する効果が期待できます。これは、心を落ち着かせるための、動く瞑想とも言えます。
背中や腰周りの血行が促進され、筋肉の緊張が解けるため、慢性的な腰痛の予防に繋がります。また、腹部を優しくマッサージする効果により、消化器の動きが活発化します。特に朝一番に行うことで、内臓を目覚めさせ、一日の体の調子を整えるのに役立ちます。
より深く、心地よくポーズを行うために、いくつかの工夫を取り入れてみましょう。
四つん這いの姿勢では、体重が手首や膝にかかります。
・膝の下:膝に痛みを感じやすい方は、ヨガマットを二重に折るか、薄いブランケットを敷いてクッションにしましょう。
・手首の負担軽減:手首に痛みを感じる場合は、手のひらの下にタオルやブランケットを丸めて敷き、手のひらの付け根部分を少し高くすることで、手首の角度を緩やかにできます。
ポーズの質を高めるためには、背骨全体を「波」のように動かすイメージが大切です。丸める時も反らせる時も、尾骨から始まり、腰、背中、首の付け根へと、背骨の各節を順番に動かす意識を持ちましょう。この意識が、背骨の柔軟性を最大限に引き出します。
・吸う息に合わせてカウの動きを最後までゆっくりと完了させます。
・吐く息に合わせてキャットの動きを最後までゆっくりと完了させます。
決して動きが呼吸を追い越さないように、呼吸の長さに合わせて動作のスピードを調整しましょう。
慣れてきたら、以下のバリエーションを取り入れてみましょう。
・片手を上げる:カウの姿勢で、片手をまっすぐ前に伸ばし、体幹の安定性を高めます。
・ヒップサークル:四つん這いの姿勢のまま、お尻で円を描くように大きく動かし、股関節周りも同時にストレッチします。
A. 主に背骨の柔軟性向上、腰痛の予防・軽減、姿勢改善、そしてリラックス効果が期待できます。また、内臓を優しくマッサージすることで、消化機能の活性化や便秘解消にも役立つとされています。
A. 最も重要なのは、**「呼吸と動きの連動」**です。息を吸う時にカウ、吐く時にキャットと、呼吸の長さに動きを合わせましょう。また、手首や膝の真上に肩や股関節が来るように、基本の四つん這いフォームを正確に保つことが大切です。
A. 朝起きた直後や、就寝前、または長時間座り続けた仕事の合間におすすめです。背骨を動かして体を目覚めさせたり、一日の緊張を和らげたりするのに最適なポーズです。
キャット アンド カウは、ヨガが初めての方でも簡単で安全に取り組める、非常に効果的な基本ポーズです。このシンプルな動きを日々の習慣に取り入れることで、背骨の柔軟性が高まり、姿勢が改善され、リラックス効果によって心身の安定が図れます。特別な器具もスペースも必要ありません。ぜひ今日から、深い呼吸に合わせて背骨を優しく動かし、しなやかで快適な体を手に入れましょう。
フィットネスクラブ エイムでは、初心者の方でも安心して参加できるヨガプログラムを実施しています。呼吸と動きを整えながら、心と体をリフレッシュする時間を過ごしてみませんか?
監修:舛井達郎 エイムのマーケティングに携わり、紙媒体やWeb広告の運用を行っている。動画や広告制作も担当し幅広い業務に従事。フィットネスの普及のため、運動の方法や健康についてインスタグラムでの発信も行っている。