- ピラティス
2025.11.27
2025.10.26
「ピラティスは女性がやるもの」という固定観念は、今や過去のものです。ピラティスの創始者は男性のジョセフ・ピラティスであり、彼は第一次世界大戦中に抑留所で仲間の健康維持や回復を目的としたエクササイズを考案しました。これが後に「ピラティス・メソッド」として体系化され、リハビリテーションや体の機能回復にも応用されるようになりました。そのルーツからもわかる通り、ピラティスは筋力強化、体の機能回復、そして体幹の安定化という点で、現代の男性が抱える体の悩みに非常に効果的なフィットネスです。特に、長時間デスクワークを行うことによる姿勢の乱れや、一般的な筋力トレーニング(筋トレ)だけでは補えない体幹の深層部(インナーマッスル)の強化に大きな力を発揮します。
この記事では、なぜ今、多くのビジネスマンやアスリートといった男性にピラティスが推奨されているのか、その具体的な効果と、体が硬い方でも無理なく始められるエクササイズ、継続のコツまでを徹底解説します。
男性特有のライフスタイルや体の傾向は、ピラティスの目的と非常に高い相性を持っています。ピラティスは、男性の抱える体の悩みにどのようにアプローチし、パフォーマンスを向上させるのかを見ていきましょう。
現代の多くの男性は、仕事中の不良姿勢や、スマートフォンの使用により、猫背(円背)や巻き肩といった姿勢の乱れを抱えています。この姿勢の乱れは、慢性的な腰痛や首・肩のこりの最大の原因となります。
〇姿勢の安定化の土台:ピラティスは、体の中心にある背骨骨盤を最も安定した位置(ニュートラルポジション)に整え、その感覚を体に覚えさせます。特に、体幹の深層にある腹横筋を強化することで、天然のコルセットのように背骨を支える力が養われます。
〇腰痛の根本解決:男性の多くが悩む腰痛の多くは、表面の筋肉の疲労ではなく、インナーマッスルの機能不全が原因で、腰椎(背骨の腰の部分)が不安定になることで起こります。ピラティスでこのコアを内側から強化することは、腰痛の根本的な予防と改善に直結します。
男性の体型に関する悩みで最も多いのが、内臓脂肪や皮下脂肪によるお腹まわりのたるみです。筋トレで腹筋運動をしてもなかなかポッコリお腹が解消されないのは、インナーマッスルが使えていないからです。
〇腹横筋の直接強化:ピラティスは、腹筋群の中で最も深部に位置し、お腹を包み込むように働く腹横筋を集中的に鍛えます。この筋肉が強化されると、腹部が内側から強く引き締められ、ウエストのサイズダウンに繋がります。
・内臓の位置矯正:体幹が緩むことで内臓が下がり、下腹部が前に突き出てしまう状態を改善します。ピラティスによって体幹が安定すると、内臓が正しい位置で保持されるため、見た目のお腹まわりが劇的にスッキリします。
ウェイトトレーニング(筋トレ)に熱心な男性ほど、ピラティスを組み合わせるメリットがあります。筋トレは、大胸筋や大腿四頭筋といったアウターマッスルを大きくすることに優れていますが、体幹の安定筋の強化を疎かにしがちです。
・体幹の安定性向上:ピラティスは、深層のインナーマッスルと、関節周りの小さな安定筋に的確にアプローチします。これにより、体の軸がしっかりし、ウェイトトレーニングの際にフォームが崩れにくくなります。
・スポーツパフォーマンスの向上:体幹の安定性が高まることで、ゴルフや野球など、回転運動を伴うスポーツにおいて、パワーが体幹から手足に効率よく伝わるようになり、パフォーマンス向上にも繋がります。
⇩ピラティスの効果についてはこちらの記事で解説していますので、あわせてチェックしてみてください⇩
ピラティスの効果とは?体幹強化・姿勢改善・ダイエットまで徹底解説
ピラティスには数多くのエクササイズがありますが、ここでは特に体幹の安定性と筋力強化に直結し、男性におすすめの代表的な動作をご紹介します。これらのエクササイズは、正しいフォームで行うことで、効率よくインナーマッスルに効かせることができます。
「ハンドレッド」は、ピラティスの基本中の基本となるエクササイズで、呼吸法とコアの安定を同時に習得できます。
〇目的:腹直筋、腹横筋、呼吸筋を使い、体幹を徹底的に安定させる。
〇効果:腹筋群を温め、全身に血流を送るとともに、深い呼吸による持久力の向上を促します。
〇やり方:仰向けになり、頭と肩甲骨を床から少し持ち上げ、脚をテーブルトップ(膝90度)か45度に浮かせます。この姿勢を保ちながら、腕を床と平行に上下に力強く100回振ります(吸う息で5回、吐く息で5回を10セット)。
プランクは筋トレでもお馴染みですが、ピラティスでは「お腹をへこませながら行う」点に最大の特徴があります。
〇目的:体幹前面、側面、背面の筋肉を連動させ、姿勢を安定させる力を強化。
〇効果:腹筋全体を強力に引き締め、特に腹横筋の筋持久力を高めます。通常のプランクに加え、サイドプランクを取り入れることで、**脇腹(腹斜筋)**の引き締めにも効果的です。
〇やり方:肘または手のひらで体を支え、頭から踵まで一直線にします。この時、腰が反らないようにお腹を背骨に引き寄せるインプリントの感覚を強く意識します。
「ブリッジ(ペルビックカール)」は、腰痛改善の基本であり、下半身の連動性を高めるために重要なエクササイズです。
〇目的:腰痛の原因となる股関節周りの柔軟性を高め、お尻の筋肉(大臀筋)とハムストリングスを強化。
〇効果:お尻と太もも裏の筋肉をしっかり使えるようにすることで、腰への負担を軽減し、下半身の引き締めにも効果的です。
〇やり方:仰向けで膝を立て、息を吐きながら骨盤を後傾させ、背骨を一つずつ剥がすように持ち上げます。トップでコアを安定させた後、息を吸い、吐きながら背骨を上から順に床に戻します。腰の力だけで反り上げないように注意し、下半身とお腹の連動を意識しましょう。
一般的に柔軟性が低い傾向にある男性が、ピラティスを効果的かつ安全に取り入れるための注意点と工夫をご紹介します。
男性の多くは、股関節や太ももの裏側(ハムストリングス)が硬いため、前屈や開脚などのポーズで痛みを感じやすいです。
〇「できる範囲」でフォームを優先:ピラティスは、ヨガのように柔軟性を追求するものではなく、「正しい筋肉を正しく使うこと」を重視します。体が硬くてポーズが深く取れなくても、膝を曲げる、タオルやブロックで高さを出すなどして、楽に呼吸ができ、コアを意識できるフォームを最優先しましょう。
〇柔軟性の向上はボーナス:ピラティスを継続すれば、体幹が安定すると同時に、股関節や背骨周りの柔軟性も自然と向上していきます。硬いと感じても、その変化のプロセスを楽しむことが大切です。
ピラティスは、胸式呼吸(肋骨を横に広げる呼吸)が基本であり、すべての動作は呼吸がリードします。男性は腹式呼吸(お腹を膨らませる呼吸)に慣れていることが多いため、胸式呼吸の習得に戸惑うかもしれません。
〇呼吸とコアの連動:息を吐くときに腹横筋を強く引き込み、コアを安定させるテクニック(パワーハウスの意識)を習得することが、インナーマッスルを使うための鍵です。
〇集中力の向上:動きよりも呼吸に意識を集中させることで、エクササイズへの集中力が高まります。これは、仕事のパフォーマンスや、筋トレへの集中力向上にも繋がります。
ピラティスを単独で行うだけでなく、既存の筋トレルーティンに戦略的に組み込むことで、効率は最大化されます。
1.筋トレ前のウォームアップ:筋トレ前に15分程度のピラティスを行い、インナーマッスルを先に目覚めさせ、体の軸を整えましょう。これにより、高重量を扱う際のフォームの崩れを防ぎ、怪我の予防になります。
2.筋トレ後のクールダウン:筋トレで酷使したアウターマッスルを、ピラティスのストレッチ要素で優しく伸ばし、体の歪みをリセットします。疲労回復を早め、翌日の筋肉痛を軽減する効果も期待できます。
この組み合わせは、「機能的で、動きやすく、見た目も美しい」体を作るための理想的な方法です。
A. どちらもダイエットに不可欠ですが、役割が異なります。筋トレは筋肉量を増やし基礎代謝を上げ、ピラティスは姿勢を改善し、インナーマッスルを鍛えて「痩せやすい体質」をつくります。最も効率的なのは、ピラティスで体の土台を整えてから筋トレで筋肉をつけるという組み合わせです。
A. 全く問題ありません。 ピラティスは柔軟性を高めることを目的の一つとしており、体が硬い方ほど、股関節や背骨の可動域が広がるという劇的な変化を実感しやすいです。体が硬い場合は、インストラクターがブロックやストラップなどの補助具を使って、無理のない範囲でコアを使えるフォームに調整してくれます。
A. 動きやすい服装であれば、最初は普通のジャージやTシャツでも大丈夫です。ただし、ピラティスはフォームの確認が非常に重要です。
・フィット感:インストラクターが骨盤や背骨の動きを確認しやすいため、ある程度体にフィットするTシャツやスウェットパンツがおすすめです。
・足元:マットピラティスの場合、基本的に裸足か、滑り止め付きのソックスで行います。
ピラティスは、体の不調を改善し、スポーツや仕事のパフォーマンスを高めたいすべての男性におすすめできるフィットネスです。
男性に多い姿勢の乱れやお腹まわりの悩みに対し、ピラティスはインナーマッスルの強化を通じて根本からアプローチします。
筋トレとピラティスを戦略的に組み合わせることで、アウターマッスルとインナーマッスルの両方を効率的に鍛え上げ、体幹の強さや日常の動きやすさを格段に向上させることができます。「体が硬いから」「女性が多いから」という先入観は捨て、ピラティスを通じて、軸が整った、強くしなやかな身体を手に入れましょう。気軽に始められるピラティス体験はフィットネスクラブ エイムでフィットネスクラブ エイムでは、男性にも人気のピラティスプログラムを多数ご用意しています。
初心者でも始めやすい少人数制クラスから、姿勢改善や体幹強化を目的とした本格レッスンまで幅広く対応。経験豊富なインストラクターが一人ひとりの姿勢や動きを丁寧にサポートします。仕事やスポーツのパフォーマンスを高めたい方、デスクワークで慢性的な腰痛や肩こりに悩んでいる方は、ぜひ一度エイムのピラティスを体験してみてください。
監修:舛井達郎 エイムのマーケティングに携わり、紙媒体やWeb広告の運用を行っている。動画や広告制作も担当し幅広い業務に従事。フィットネスの普及のため、運動の方法や健康についてインスタグラムでの発信も行っている。