- ピラティス
2025.11.27
2025.11.21
「気づくと猫背になっている」「立っているとお腹が前に出て反り腰になってしまう」——多くの方が抱えるこれらの姿勢の悩みは、見た目の問題だけでなく、慢性的な肩こりや腰痛、疲労感の原因にもなります。
一時的に背筋を伸ばしても、すぐに元に戻ってしまうのは、「正しい姿勢を保つための筋肉のバランス」が崩れているからです。
そんな姿勢の悩みを根本から改善するために最も効果的なフィットネスがピラティスです。ピラティスは、体の奥深くにあるインナーマッスルに働きかけ、骨格を本来あるべき自然な位置に導くことで、「無理なくラクで美しい姿勢」を身につけさせてくれます。
この記事では、ピラティスが姿勢改善に効果的な理由から、正しい姿勢を身につけるための具体的な意識の持ち方、そして日常生活で実践できる習慣までを徹底的に解説します。
ピラティスは、体の「支える力」と「しなやかさ」を同時に育てることに特化しています。この特性こそが、姿勢の乱れを根本から解決する鍵となります。
猫背や反り腰といった不良姿勢は、一部の筋肉が過度に緊張して硬くなり、反対側の筋肉が弱く伸びきっているという、筋肉のアンバランスによって起こります。
猫背の例:胸の前の筋肉(大胸筋)が硬くなり、背中側の筋肉が弱くなる。
反り腰の例:股関節の付け根(腸腰筋)が硬くなり、腹筋(特にインナーマッスル)が弱くなる。
このアンバランスを放置すると、骨格は常にストレスのかかる位置で固定されてしまい、自力で正しい姿勢を維持できなくなります。
▼骨盤のゆがみや腰痛が気になる方は、こちらの記事で改善アプローチを紹介しています
腰痛に効くピラティスとは?骨盤位置を整えて痛みを和らげる方法
ピラティスが姿勢改善に強いのは、この筋肉のアンバランスを解消することに焦点を当てているからです。
インナーマッスルの強化:体の中心(コア)にある腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルを鍛え、「天然のコルセット」のように背骨と骨盤を内側から安定させます。この支える力が、姿勢の土台となります。
柔軟性の回復:硬くなった筋肉を動きの中でストレッチし、過剰な緊張を解き放ちます。例えば、胸を開くエクササイズで、猫背の原因となる胸筋の硬さを和らげます。
神経系の再学習:正しい姿勢(ニュートラルポジション)を保ちながら動くことを繰り返すことで、脳と神経に正しい体の使い方を再教育し、意識せずとも良い姿勢を保てるようになります。
ピラティスでは、正しい姿勢を「骨盤と背骨が自然な位置にある状態」と定義します。この自然な状態を体で覚えるための基礎となる考え方が、「ニュートラルポジション」と「インプリントポジション」です。
ニュートラルポジション(Neutral Position):
定義:背骨が自然なS字カーブを描き、骨盤が床と平行になっている、最も負担が少なく安定した理想的な姿勢です。多くのピラティスエクササイズは、このポジションを保ったまま行われます。
意識の仕方:仰向けに寝たとき、腰の真下に手のひら一枚分ほどのわずかな隙間がある状態が目安です。
インプリントポジション(Imprint Position):
定義:腹筋を強く引き込み、骨盤を軽く後傾させて、腰を床に押し付けるポジションです。
意識の仕方:腹筋の力が不十分でニュートラルを保てないときや、腰に負担がかかりやすい動きをする際に、あえてこのポジションをとり、腰を保護します。
ピラティスを通じて、まずこのニュートラルポジションを体に覚え込ませることが、姿勢改善の最重要課題となります。
▼ピラティスの基本姿勢や呼吸法については、こちらの記事で詳しく紹介しています
ピラティスのやり方を初心者向けに解説|基本姿勢と自宅でできる動作
ピラティスの効果を最大限に引き出し、正しい姿勢を身につけるためには、動き方だけでなく、エクササイズ中の「意識の持ち方」が極めて重要です。
意識:骨盤と背骨を動かす際に、体幹の筋肉で動きをコントロールし、手足の勢いや慣性に頼らないようにします。
実践:動作中は常にニュートラルポジションを意識し、崩れそうになったらすぐに動きを止める勇気を持ちましょう。
意識:肩甲骨を背中の低い位置(ポケット)にしまい、広背筋などの大きな筋肉を使って固定する感覚を持ちます。
実践:肩が耳に近づかないように常に首を長く保ち、腕を動かすときも肩甲骨がぶれないように安定させます。これにより、巻き肩の改善に繋がります。
意識:息を吐くときに、お腹をただへこませるだけでなく、おへそが背骨に向かって引き込まれ、さらに上(天井方向)に持ち上がるような意識を持ちます。
実践:この感覚は、体幹の深部にある腹横筋と骨盤底筋を連動させます。この力が、反り腰の改善と下腹部の引き締めに不可欠です。
意識:ピラティスの基本である胸式呼吸を続け、息を吸うときに背中や脇腹にも空気を入れるように意識します。
実践:これにより、背骨周りのインナーマッスルが活性化され、硬くなった背中の筋肉が内側から緩みます。呼吸を止めないことで、集中力と安定性も維持できます。
意識:全ての動作において、体を短く縮めるのではなく、「長く伸びる」ことを意識します。例:座っているときも、頭のてっぺんが天井に引っ張られるように。
実践:この「伸張感」が、常に背骨間のスペースを広げ、関節への圧迫を減らし、軽やかで優雅な姿勢へと繋がります。
姿勢が整うと、見た目の美しさだけでなく、心身の健康にも様々な良い変化がもたらされます。
猫背や巻き肩で胸が閉じた姿勢は、肺を圧迫し、呼吸が浅くなります。
変化:ピラティスで背筋が伸び、胸郭(胸の骨格)が広がることで、肺にたっぷり酸素が入るようになり、呼吸が深くなります。
効果:十分な酸素は全身の代謝を高め、老廃物の排出を促します。その結果、疲労回復力が向上し、疲れにくい体質へと変わります。
姿勢が整うことで、見た目の印象が劇的に変わります。
背中の変化:猫背が改善し、肩甲骨周りの筋肉が使えるようになると、背中のたるみが解消され、すっきりとした後ろ姿になります。
お腹の変化:反り腰が改善し、インナーマッスルで骨盤を支えられるようになると、内臓の位置が上がり、ポッコリお腹が解消され、ウエストラインが引き締まります。
正しい姿勢は、脳と神経系の働きにも良い影響を与えます。
変化:体幹が安定することで、無駄な緊張から解放され、脳がリラックスします。
効果:これにより、集中力や判断力が高まり、デスクワークや複雑な作業の効率が向上します。また、精神的な安定にも繋がり、前向きな気持ちで過ごせるようになります。
ピラティスのセッション以外の時間、つまり日常生活での意識こそが、姿勢を定着させる鍵です。少しの意識改革で、あなたの姿勢は大きく変わります。
長時間座りっぱなしのデスクワークは、姿勢を悪化させる最大の要因です。
骨盤:深く腰掛けて、骨盤を立てる(ニュートラル)状態を保ちます。背もたれにもたれすぎず、座骨で座る意識を持ちましょう。
肩:キーボードを打つ際、肩が前に出て巻き肩にならないよう、肩甲骨を背中のポケットにしまっておく意識を維持します。
立ち姿勢や歩行時も、常に「長く伸びる」意識を持ちましょう。
意識:頭のてっぺんが天井の糸で優しく引っ張られているようなイメージを持ち、背骨を長く保ちます。
実践:顎を軽く引き、目線を遠くに向けます。この意識だけで、自然と猫背が解消され、重心が安定した美しい歩き方になります。
忙しい日でも、体の歪みをリセットする時間を作りましょう。
朝:10分程度のキャット&カウなど、背骨を大きく動かすピラティスで体を目覚めさせ、姿勢の軸をリセットします。
夜:仰向けでのペルビックカール(ブリッジ)などを行い、硬くなった腰やお尻周りを緩めつつ、体幹の安定を確認してから就寝しましょう。
▼朝にピラティスを取り入れるポイント野メリットについて、こちらの記事でも紹介しています
朝にピラティスを取り入れる効果とは?代謝アップ&姿勢美人の1日をつくる
A. はい、根本的な改善が期待できます。ピラティスは、猫背や反り腰の原因となっている「弱いインナーマッスル」と「硬いアウターマッスル」の両方にアプローチします。特に、姿勢を支えるコアの力を高めるため、姿勢が崩れにくい体質へと変わります。ただし、改善には継続が不可欠です。
A. 変化の感じ方には個人差がありますが、一般的には以下の目安が言われています。
1ヶ月(週1〜2回):「姿勢を意識できる」ようになる。
3ヶ月(約20回):「他者から姿勢が良くなった」と言われるなど、見た目の変化が現れ始める。
6ヶ月以上:「意識しなくても正しい姿勢を保てる」ようになる。
A. 体が硬い人ほど、ピラティスの効果を実感しやすいといえます。ピラティスは柔軟性を競うものではなく、硬い筋肉をゆるめながら、その奥にあるインナーマッスルを使うトレーニングだからです。硬い部分に無理をさせないよう、インストラクターの指導のもと、正しいフォームで安全に進めることが大切です。
ピラティスは、姿勢を「無理に正す」ものではなく、体の内側からバランスを整え、「自然に正しい位置に戻す」ための画期的なメソッドです。
姿勢の土台となるインナーマッスルを強化し、硬くなった筋肉を解き放つことで、あなたの体は軽やかで疲れにくい、本来の機能を取り戻します。
フィットネスクラブエイムでは、マットの上で体幹を中心に体の動きをトレーニングしていくピラティスと、呼吸法と身体の可動域に重点を置きゆっくりとコントロールされた動きで行うレズミルズピラティスのクラスをご準備しています。
レッスンで学んだ意識の持ち方を日常生活にも取り入れ、継続していきましょう。ピラティスを通じて、軽やかで美しい「姿勢美人」の体を無理なく手に入れてください。
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監修:舛井達郎 エイムのマーケティングに携わり、紙媒体やWeb広告の運用を行っている。動画や広告制作も担当し幅広い業務に従事。フィットネスの普及のため、運動の方法や健康についてインスタグラムでの発信も行っている。